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HOME労務・税務・金融税務に関する情報 > 知っておきたい最新の税務情報 第64弾

知っておきたい最新の税務情報 第64弾 [2016.04.06]

出国税について

 平成27年7月1日から国外転出時課税制度、いわゆる「出国税」が導入されました。日本の居住者が、国外転出して非居住者となる場合に、保有する有価証券等と未決済デリバティブ等に含み益があると、その含み益を譲渡して「所得」があったものとみなして、課税する制度です。
 「出国税」は、有価証券等と未決済デリバティブ等が対象資産となり、保有資産の時価が1億円以上の時に適用されるため、すべての人が対象となるわけではありません。

◆出国税導入の経緯

 なぜ、このような制度ができたのでしょうか?
 日本では、有価証券を売却して利益を得た時には、20%程度の所得税等が課税されます。そこで多くの含み益(未実現のキャピタル・ゲイン)のある有価証券を保有する人が、その有価証券を持ったまま海外に移住し、シンガポールのようなキャピタル・ゲインが非課税の国で売却して、利益を得た場合には、日本はもちろん、どの国にも所得税等を納める必要がありません。
 このような状況を防止するため、OECD租税委員会は、「BEPS(税源浸食と利益移転)」に対する検討をすすめ、公平な課税を実現するため、行動計画を定めて、各国が協調してこの問題に取り組んでいます。日本でも、その一環として「出国税」が導入されました。

◆更正の請求と納税猶予制度

 国外転出してから、有価証券等を売却せずに5年以内に帰国した場合には、帰国した日から4か月以内に更正の請求をすれば、国外転出時課税の適用がなかったものとされ、国外転出時に支払った所得税等を取り戻すことができます。
 また、一定期間、海外で仕事を行い、日本に帰国するという予定がある場合には、確定申告を行う時に担保を提供するなど、一定の手続きを行った場合には、5年間(更に5年延長して、最大10年間)、納税を猶予する制度が用意されています。

◆二重課税の調整

 国外転出先で、出国税の対象となった有価証券等を売却して、その国で所得税等が課税された場合には、二重課税とならないよう、外国税額控除により調整を行うことができます。

◆出国以外でも、出国税

 日本に住む居住者本人が出国しなくても、出国税の対象となる場合があります。1つ目は、贈与の場合です。居住者が、国外に居住する子供や孫(非居住者)に対して有価証券等を贈与した場合、未実現のキャピタル・ゲインが実現して所得があったものとみなして課税されることになります。2つ目は、居住者が死亡し、相続や遺贈で非居住者が財産を取得するような場合です。相続人や受遺者の中に非居住者がいる場合には、亡くなった方の所得税の準確定申告で、この特例が適用され、未実現のキャピタル・ゲインに課税されることになります。

◆中小企業オーナーへの注意点

 有価証券を1億円以上保有するというと多くの上場株式を保有しているというイメージですが、会社を成長させた中小企業のオーナー経営者が、引退後、海外で暮らそうと考えた場合、同族会社の株式を保有したまま海外へ移住すると、その株式の含み益に対して、みなし譲渡課税が行われることになるため、注意が必要です。子供などの後継者に株式を承継させてから、海外移住を検討しなければ「出国税」の対象となってしまいます。


税理士 木村 幹雄