労務に関する問題

税務に関する問題

金融に関する問題

平井先生の労務のツボ

税務に関する問題

金融に関する問題

セミナー

検定

キラリ★この企業

電話でのお問い合わせ

お問い合わせ メールはコチラ

税務に関する情報

HOME労務・税務・金融税務に関する情報 > 知っておきたい最新の税務情報 第67弾

知っておきたい最新の税務情報 第67弾 [2016.07.04]

中小企業のオーナーが考えるべき相続問題

 相続税の基礎控除額が引き下げられるという改正があってから1年半が経ちました。相続税がより広く課税される改正であり、中小企業のオーナーの方々は大きな関心を持っておられるのではないかと思います。
 ここでは、オーナーに特有の相続問題のいくつかについて考えてみたいと思います。オーナーの相続は、通常の相続よりも多くの難題を含んでいます。オーナーが元気なうちに解決できることは解決しましょう。


1.名義株

 かつて株式会社を設立するためには株主が最低でも7名必要な時代がありました。実際に出資した株主以外に、単に名前を借りただけで実質的には株主でない人の名義である株式が「名義株」ですが、長年経つうちに、名義株なのか真に所有している株式なのか分からなくなってしまう場合があります。出資当時の預金通帳の記載やその後の配当金の記録などの証拠から、名義株であることが明確になれば、名義人に名義株であることを認める確認書を提出してもらい、株主名簿や法人税申告書別表二を書き換えることができます。創業者であれば、名義株を真実の所有者の名義に書き換えるのは責務と言っても過言ではありません。
 一方、名義株であることを証明する証拠がなかったり、名義人がすでに死亡している場合には、株の名義人が真の所有者として扱わざるを得ないでしょう。昔と違い株式の価値や株主としての権利を知る人が増えました。「物言う株主」として経営に立ちはだかる可能性もあります。いずれかの段階で、オーナーや後継者または会社自身が買い取る必要があります。また、所在不明になっている株主の株式は、「所在不明株主の株式売却許可」を地方裁判所に申立て、買い取ることができます。(ただし、5年以上の準備が必要です。)厳しい経営状態の中、会社の株価が低い時が買い取るチャンスといえます。


2.会社に対する貸付金

 厳しい経営状態の中、運転資金を個人資産の中から融通する事が重なり、会社に対する貸付金の残高が莫大な額になっている場合があります。その状態でオーナーが亡くなると、会社は債務超過で株式の評価額は0円、となるかもしれませんが、債務超過であっても会社が存続している以上、莫大な貸付金はオーナーの財産としてカウントされてしまいます。
 この貸付金の対策としては2つの方法が考えられます。1つ目はオーナーの債権放棄です。これにより会社には「債務免除益」が計上されますが、繰越欠損金の範囲内であれば、法人税は課税されません。ところが、贈与税が課税される可能性があります。債権放棄によって会社の財務状態は改善するため、放棄前に比べて株価が上昇します。もし会社の株主がオーナー以外にも存在すると、その株価の上昇分がオーナーから他の株主への贈与と見られてしまうのです。その株主の持株数に応じた上昇分が110万円を超えれば、贈与税が課税されます。ただし、債権放棄を受けても債務超過が解消されなければ、株価は0円のままですから、贈与税は課税されません。
 2つ目は、この貸付金を贈与により後継者に移転する方法です。贈与ですから年間110万円を超えれば、贈与税が課税されます。


3.小規模宅地等についての課税価格の特例

 相続税の計算の際、遺族の居住や事業の継続を守るため、居住用宅地や事業用宅地の評価額を減額する、「小規模宅地等についての課税価格の特例」という規定があります。従前は居住用か事業用か有利な方を選択する必要がありましたが、平成27年1月1日以降は居住用と事業用を併用することができるようになりました。オーナーが所有する宅地を、会社が事業(不動産貸付業等の事業を除きます)用に使用している場合についても一定の要件を満たせば、この規定が適用できます。最大400㎡まで8割減額できるため、大きく相続税を減額できる効果を持ちますが、そもそもこの規定を適用するためには、会社に有償で賃貸していなければなりません。厳しい経営状態の中でも賃料を払い続けることが必要です。


税理士 土屋雅彦