税務に関する情報
知っておきたい最新の税務情報 第71弾 [2016.11.04]
平成28年度税制改正では、納税環境整備の一環として、加算税に関して見直しが行われました。その内容は、事前通知を受けて修正申告等を行う場合の取扱いと、短期間に繰り返して無申告又は仮装・隠蔽が行われた場合の加算税の加重措置の創設です。
税務調査の事前通知を受けた直後から調査開始までの間に、多額の修正申告又は期限後申告を行い、加算税の賦課を回避している事例が多数見られた(注1)ことから、税務調査の事前通知以後、かつ、その調査があることにより更正又は決定があるべきことを予知する前にされた修正申告に基づく過少申告加算税の割合が改正前0%から改正後5%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分は10%)とされることとなりました。また、期限後申告又は修正申告に基づく無申告加算税の割合は、改正前の5%から改正後10%(納付すべき税額が50万円を超える部分は15%)とされました。
注1 財務省HP 納税環境整備等に関する資料「平成28年度改正関係参考資料」4ページ改正前 |
改正後 |
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予知ない修正申告 |
0% |
改正なし |
調査通知から更正予知まで |
0% |
5% 10%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分) |
更正予知後 |
10% 15%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分) |
改正なし |
改正前 |
改正後 |
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法定申告期限から1か月以内の期限後申告で一定の場合 |
0% |
改正なし |
予知ない修正申告 |
5% |
改正なし |
調査通知から 更正予知まで |
5% |
10% 15%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分) |
更正予知後 |
15% 20%(期限内申告税額と50万円のいずれか多い額を超える部分) |
改正なし |
意図的に無申告又は仮装・隠蔽を繰り返す悪質な行為を防止する観点から、過去5年以内に無申告加算税又は重加算税を賦課された者が、再び「無申告又は仮装・隠蔽」に基づく修正申告書の提出等を行った場合について、加算税を10%加重する措置が導入されることとなりました。
すなわち、期限後申告若しくは修正申告(更正予知によるものに限る)又は更正若しくは決定等(以下「期限後申告等」という)があった場合において、その期限後申告等があった日の前日から起算して5年前の日までの間に、その期限後申告等に係る税目について無申告加算税(更正予知によるものに限る)又は重加算税を課されたことがあるときは、その期限後申告等に基づき課する無申告加算税の割合(15%、20%)又は重加算税の場合(35%、40%)について、それぞれその割合に10%加算した割合となります。
改正前 |
改正後 |
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通常の場合 |
15% 20%(50万円を超える部分) |
改正なし |
今回の改正に 該当する場合 |
15% 20%(50万円を超える部分) |
25% 30%(50万円を超える部分) |
改正前 |
改正後 |
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通常の場合(過少申告) 今回の改正に該当する場合 |
35% |
改正なし |
45% |
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通常の場合(無申告) 今回の改正に該当する場合 |
40% |
改正なし |
50% |
これらの改正は、平成29年1月1日以降に法定申告期限が到来する国税及び地方税について適用されます。
税理士 林 豊文