労務に関する問題

税務に関する問題

金融に関する問題

平井先生の労務のツボ

税務に関する問題

金融に関する問題

セミナー

検定

キラリ★この企業

電話でのお問い合わせ

お問い合わせ メールはコチラ

税務に関する情報

HOME労務・税務・金融税務に関する情報 > 知っておきたい最新の税務情報 第73弾

知っておきたい最新の税務情報 第73弾 [2017.01.07]

会計基準と法人税との関係
1.所得と利益

 基本的な質問ですが、法人税は会社のどの数値に対して課されるのでしょうか?利益という答えは不正確で、正しくは所得です。両者は似ていますが通常は一致しません。利益は会計基準に従い、所得は税法に従って計算されます。但し、実務上は会計基準に従って損益計算書で計算された利益額に、会計と税法とで扱いが異なる金額を加減算するという方法で所得額を計算します。


2.会計基準の種類

 我が国の会計基準は、会社の規模に関わらず一本化されるべきとの考えもありますが、利害関係者の範囲、利用目的等の違いから、近年は中小企業向けの会計ルールも整備され、少なくとも以下の4種類が併存しています。
① 大企業向け企業会計基準
 主に上場会社向けに多数の基準が用意され、複雑高度な処理が要求される。
② 中小企業の会計に関する指針(中小指針)
 企業会計基準の考え方を一定水準で保ちつつ中小企業も採用できるように簡便化したもの。
③ 中小企業の会計に関する基本要領(中小会計要領)
 中小指針より簡便であり、中小企業の負担を軽減すべく税務会計に近い考えを導入したもの。
④ 税務基準(法人税法会計)
 会計基準というよりは法人税法のみに従った会計処理のこと。
 これらの違いを簡単に言ってしまえば、①ほど厳密に利益が計算できますが、煩雑で税法との乖離が大きくなり、④ほど簡易で税法に近い処理になります。また、①ほど損失を早期に計上させる傾向が強いため、例えば税務基準では利益が出ている決算書でも、企業会計基準に準拠して作成し直せば赤字ということも起こり得ます。


3.会計基準による税額の違い

 会計基準の選択によって税額は異なってくるのでしょうか。会計基準がどれであれ、法人税額はただ一つの税法に従って計算されるので、基本的には同じになるはずです。
 ただし、税法で損金経理要件が定められている項目については、会計処理の選択によって税額が異なる場合があります。損金経理要件とは、会計上で費用として処理した額しか、税務上も費用(損金)として認められないとする要件です。例えば減価償却費は、税法上、一律に定められた耐用年数、償却方法で計算されます。もし、会計基準上で税法と異なる償却方法を採用し、その結果、税法上の金額を下回る償却費を計上した場合は、税務上でその差額を調整することはできず、税務メリットを放棄することになります。


4.中小企業の会計基準

 以上のようなケースが有り得るものの、基本的に会計基準の選択によって法人税額は変わらないと言えます。であれば、会計はなるべく税法に一致した方が分かりやすくてよいのではとも考えられます。一方で、全ての会社は会社法で「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うものとする」とされています。厳密に言えば、税務会計のみでは企業会計の考えと乖離した部分があり、これに準拠しているとは言い難いと考えられます。
 中小企業が決算書の作成を過度な負担無しに、税金計算のためだけでなく、対外的な信用力の向上や、自社の経営及び財政状態を把握していくためには、中小会計要領、会計指針の採用が望まれると考えます。


税理士 林享