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HOME労務・税務・金融税務に関する情報 > 知っておきたい最新の税務情報 第93弾

知っておきたい最新の税務情報 第93弾 [2018.09.27]

仕入税額控除の適用要件に要注意

 わが国の消費税は、商品やサービスの付加価値が消費者に届けられるまでの流通段階で取引のたびに課税され、最終的に消費者が負担するという仕組みになっています。そのため、税の累積を排除する仕組みが必要となり、そのための仕組みが消費税の根幹をなす「仕入税額控除」です。消費税の納付税額の計算においては、課税期間の課税標準額に対する消費税額からその前段階で課税された消費税額を控除する仕入税額控除を行います。

 現行、仕入税額控除の適用を受けるためには、一定の場合を除き、課税仕入れ等の事実を記載した帳簿及び請求書等の両方を保存する必要があります(請求書等保存方式)。逆にいえば、帳簿及び請求書等の両方の保存がなければ、仕入税額控除の適用を受けることができません。

 これは、法人税法の損金や所得税法の必要経費として認められるかといった問題とは別の問題となり、消費税法上、課税仕入れとして認められるかといった問題になります。例えば、相手方と口約束だけで済ませ、相手方から請求書等をもらっていない状況で、税務調査において、「帳簿に相手先等が書いてあるから認められるのでは」と反論しても、一定の場合を除いて、法定要件を満たしていないので、仕入税額控除は認められません。たとえ、他の証拠資料によって課税仕入れに係る支払対価の額を合理的に推認できる場合であっても、法定要件を満たしたことにはなりません。

 このように、帳簿及び請求書等の保存に不備があると認定されると仕入税額控除の適用を受けることができません。

 この請求書等保存方式は、消費税の軽減税率制度の導入に伴い、次のように、制度が変わっていきます。


① 区分記載請求書等保存方式(平成31年10月1月から平成35年9月30日まで)

 この保存方式では、帳簿及び区分記載請求書等の保存を要件として、仕入税額控除が認められる制度です。レジや販売管理ソフトの改修に時間がかかること等を考慮して、今までの「請求書等保存方式」を維持しつつ、軽減税率制度実施後の区分経理(税率ごとの区分を追加した請求書等の発行や記帳などの経理)に対応するための措置として「区分記載請求書等保存方式」が導入されます。現行の請求書等保存方式における帳簿及び請求書等に必要とされる記載事項に加え、帳簿においては「軽減税率の対象品目である旨」、請求書等においては「軽減税率の対象品目である旨」及び「税率ごとに合計した対価の額」を記載する必要があります。請求書等においては、経過措置として交付を受けた事業者が事実に基づきこれら2項目を追加記載することも認められます。


② 適格請求書等保存方式(インボイス制度)(平成35年10月1日から)

 この保存方式は、帳簿及び税務署長の登録を受けた課税事業者(適格請求書発行事業者)から交付を受けた適格請求書等の保存を要件として、仕入税額控除が認められる制度です。適格請求書とは、「売手が、買い手に対して、正確な適用税率や消費税額等を伝えるための手段」であり、一定の事項が記載された請求書や納品書その他これらに類する書類をいいます。適格請求書を交付できるのは、適格請求書発行事業者に限られます。課税事業者が、税務署長の登録を受けなければ、適格請求書発行事業者となることはできません。よって、適格請求書発行事業者に該当しない者(例えば免税事業者)から、交付を受けた請求書等を保存しても、一定の場合を除いて、仕入税額控除を受けることができませんので、ご注意ください。

 このように、消費税の軽減税率制度の導入に伴い、仕入税額控除の適用を受ける要件も変わっていきます。法定要件を満たさない場合、仕入税額控除が認められず、消費税の増税予定もあるなか、多額の追加納税が発生するリスクがあります。このようなリスクを回避するためにも、要件の理解及び経理体制の再構築が必要となります。


税理士 鈴木健哲