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HOME労務・税務・金融税務に関する情報 > 知っておきたい最新の税務情報 第97弾

知っておきたい最新の税務情報 第97弾 [2019.01.29]

「ふるさと納税」を考える

1.はじめに

 平成30年9月11日に総務省は、ふるさと納税の抜本的な見直しを検討すると発表しました。寄附金に対する自治体の返礼品の額の割合が3割超の場合、又は返礼品が地場産業に関するものでない場合には、その自治体への寄付は税優遇の対象からはずす方針とのことです。ふるさと納税は地域活性化の一助となっている反面、本来の趣旨にそぐわないケースもあります。今回はふるさと納税の制度趣旨、課税上の取扱いを確認し、ふるさと納税の今後について考えます。


2.ふるさと納税の制度趣旨

 総務省のHPに掲載されている「ふるさと納税の理念」は次のとおりです。

 「地方で生まれ育ち都会に出てきた方には、誰でもふるさとへ恩返ししたい想いがあるのではないでしょうか。育ててくれた、支えてくれた、一人前にしてくれた、ふるさとへ。都会で暮らすようになり、仕事に就き、納税し始めると、住んでいる自治体に納税することになります。税制を通じてふるさとへ貢献する仕組みができないか。そのような想いのもと、『ふるさと納税』は導入されました。」
 さらに、「ふるさと納税の意義」は次の三つがあります。

① 納税者が寄附先を選択する制度であり、選択するからこそ、その使われ方を考えるきっかけとなる制度であること。
② 生まれ故郷はもちろん、お世話になった地域に、これから応援したい地域へも力になれる制度であること。
③ 自治体が国民に取組をアピールすることでふるさと納税を呼びかけ、自治体間の競争が進むこと。
  つまり、「寄付」という媒体を通して特定の応援したい自治体へ納税者が自発的に納税し、納税者の税の意識を高め、一方で自治体にとっては他の自治体との競争を促す効果があるとのことです。

3.ふるさと納税の課税上の取扱い

 ふるさと納税とは、平成20年度税制改正により導入された制度です。自治体に対する寄附金の額から2,000円を引いた額が寄附金控除として、所得税・住民税が減額されます。なお、所得税・住民税から減額される寄付金控除の額は、所得に応じて限度額が変動します。

① 手続き

 原則として、確定申告が必要です。寄附金の額を確定申告書に記載することにより、所得税・住民税が減額されます。

 特例として、「ふるさと納税ワンストップ特例制度」があります。「ふるさと納税ワンストップ特例制度」とは、確定申告の不要な給与所得者等がふるさと納税を行う場合において、自治体数が5団体以内で各ふるさと納税先の自治体に特例適用の申請をしたときは、確定申告をしなくともふるさと納税の寄附金控除の適用を受けられる制度です。なお、5団体を超える自治体にふるさと納税を行った場合や、給与所得者であっても他の所得等がある場合には、確定申告をする必要があります。

② ふるさと納税の返礼品の課税上の取扱い

 ふるさと納税をした一定の自治体からは、「お礼」として「返礼品」が貰える場合があります。その「返礼品」は、一時所得として所得税の課税の対象となります。

 なお、総務省は、各自治体に、平成29年4月1日と平成30年4月1日の2回にわたり「ふるさと納税に係る返礼品の送付について」と題し、自治体間の競争が過熱し、返礼品に係る返礼割合が高くなってきたこと、返礼品をふさわしいものにすること(金銭類似性の高いものや価格が高額なものを返礼品にすること控えること)を書面により通知しました。これにより、改善の兆しはありますが、改善しない一部自治体との意見の相違があり、冒頭の平成30年9月11日の総務省の発表につながりました。


4.おわりに

 納税者の寄附先の選択の判断基準が「返礼品」となる傾向があるため、各自治体よりも人気がある「返礼品」を選択することは、制度設計時に想定した「自治体間の競争」の側面はあると思います。しかしながら、過熱した高額返礼品競争は、制度設計時に想定した「自治体間の競争」ではないと思います。

 ふるさと納税による税収アップで、自治体運営に余裕がでるという事実はあります。「地場産業」の定義、「高額」の定義には様々な意見があります。制度開始から約10年が経過し、盛り上がり始めた制度であるため過度な規制は控えるべきでありますが、高額な返礼品は「納税者の税の意識の向上」や「ふるさとへの恩返し」といった趣旨からはずれるとの意見もあり、節度のあるより適切な制度になって欲しいと思います。


税理士 河合 基裕