税務に関する情報
知っておきたい最新の税務情報 第122弾 [2021.02.28]
法人が太陽光、風力、地熱、水力、バイオマスなどの設備(以下「太陽光発電設備等」という)を設置し、電気を供給している場合、その事業は電気供給業に該当します。電気事業法に基づく許可等を要する事業であるか否かを問わないため、電力会社以外の法人が太陽光発電設備等を利用して行う再生可能エネルギー売電事業も該当します。
電気供給業を行う法人の事業税は通常の業種のように所得による所得割(付加価値割、資本割を含む。以下「所得割等」という)ではなく収入金額をベースとした収入割で計算します。
(1)収入すべき金額の総額
各事業年度において収入することが確定した金額で、その事業年度の収入として経理されるべきその事業年度に対応する収入をいい、電気供給業の事業収入に係る全ての収入を含みます。主なものは以下の通りです。
○各種電灯料収入 ○各種電力料収入(新エネルギー等電気相当量を含む。)
○遅収加算料金 ○せん用料金 ○電球引換料 ○配線貸付料
○諸機器貸付料 ○受託運転収入 ○諸工料 ○設備貸付料収入
○水力又はかんがい用水販売代等の供給雑益に係る収入
○事業税相当分の加算料金 等
※課税事業者が料金と併せて収入する消費税の金額は、収入金額に含めません。免税事業者で消費税として納税しない金額については、収入金額に含めます。
(2)控除すべき金額
控除すべき金額の主なものは以下の通りです。
○国又は地方公共団体から受けるべき補助金 ○固定資産の売却による収入金額
○保険金 ○有価証券の売却による収入金額 ○不用品の売却による収入金額
○受取利息及び受取配当金 ○需要者等から収納する工事負担金等
○電気供給業を行う他の法人から電気の供給を受けて電気を供給する場合に
供給を受けた電気の料金として支払うべき金額に相当する収入金額
○電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法第16条の賦課金
○損害賠償金 ○投資信託に係る収益分配金 ○株式手数料 ○社宅貸付料 等
法人事業税(収入割)= 課税標準となる収入金額 × ※0.9%
※令和元年10月1日以後に開始する事業年度は1.0%
法人事業税(収入割)の他に令和元年9月30日までに開始する事業年度には地方法人特別税、令和元年10月1日以降に開始する事業年度には特別法人事業税がかかります。
(1)原則
電気供給業と他の事業にかかる事業税を別々に計算します。電気供給業と他の事業にかかる収入金額及び経費を区分経理し、両事業に共通する収入金額又は経費は売上金額等最も妥当と認められる基準によって按分します。電気供給業は収入割、他の事業は所得割等で計算して合算します。
(2)例外
電気供給業が主たる事業に比して社会通念上独立した事業部門とは認められない程度の軽微なものである場合は、主たる事業に含めて所得割等で計算します。「軽微なもの」の判定は、実態に即して行うべきものですが、一般に電気供給業の売上金額が主たる事業の売上金額の1割程度以下であり、かつ、事業の経営規模の比較において他の同種類の事業と権衡を失しないものとされています。
電気供給業を行う法人については、通常提出する書類以外に次の書類を申告書に添付する必要があります。
○収入金額に関する計算書(第6号様式別表6) ○貸借対照表及び損益計算書
○法人税申告書別表四 ○収入金額の算定の基礎資料
収入割を申告する法人で事業年度が6月を超える場合には、法人税の中間申告義務がない場合であっても、法人事業税及び地方法人特別税又は特別法人事業税について、中間申告をする必要があります。
税理士 槇 浩章