【労務】第79弾 職場における熱中症による死傷災害の発生状況

 今年は、6月から35度を超える猛暑日が続き、熱中症対策が呼び掛けられています。
 厚生労働省は、令和3年の「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」(確定値)を取りまとめ、公表しました。
 また、職場における熱中症予防対策を徹底するため、労働災害防止団体などと連携し、5月1日から9月30日まで、「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」が行われており、7月は重点取組期間となっています。

令和3年における職場での熱中症(※1)による死傷者(死亡・休業4日以上)は、561人(前年比398人・41%減)であり、全体の約4割が建設業と製造業で発生しています。入職直後や夏季休暇明けで明らかに暑熱順化が不足しているとみられる事例、WBGT(※2)を実測せず、その結果としてWBGT基準値に応じた必要な措置が講じられていなかった事例等も見られています 。
 また、熱中症による死亡者数は20人(前年比2人・10%減)であり、死亡災害の発生は8月に集中しており、建設業(11人)や商業(3人)で発生しています。死亡災害には、「休ませて様子を見ていたところ容態が急変した」、「倒れているところを発見された」など、管理が適切になされておらず被災者の救急搬送が遅れた事例が含まれています。
 それぞれの作業場では、「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を踏まえ、「初期症状の把握から緊急時対応までの体制整備」、「暑熱順化(※3)が不足していると考えられる者の把握」、「WBGT値の実測とその結果を踏まえた対策の実施」を重点的に取り組んでください。なお、新型コロナウイルス感染症対策のためのマスクの着用の考え方については、厚生労働省のリーフレットをご参照ください。

※1:熱中症とは
 高温多湿な環境下において、体内の水分と塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れたり、体内の調整機能が破綻するなどして、発症する障害の総称。めまい・失神、筋肉痛・筋肉の硬直、大量の発汗、頭痛・気分の不快・吐き気・嘔吐(おうと)・倦怠(けんたい)感・虚脱感、意識障害・痙攣(けいれん)・手足の運動障害、高体温などの症状が現れる。
※2:WBGT値とは
 気温に加え、湿度、風速、輻射(放射)熱を考慮した暑熱環境によるストレスの評価を行う暑さの指数。
※3:暑熱順化の不足とは
 暑熱環境下での作業に身体の体温調節や循環の機能が慣れていないこと。入職直後や夏季休暇明けの者は暑熱順化の不足が疑われ、熱中症の発症リスクが高い。

岐阜県内企業の高年齢者雇用状況

 岐阜労働局は、岐阜県内企業の令和3年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果を公表しました。
 今回の集計結果は、岐阜県内の企業(従業員21人以上の企業4,069社)からの報告に基づき、高年齢者の雇用等に関する措置について、令和3年6月1日時点での企業における実施状況等をまとめたものです。    
 
 「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」では、高年齢者が年齢に関わりなく働き続けることができる「生涯現役社会の実現」を目指して、企業に「定年制の廃止」や「定年の引上げ」、「継続雇用制度の導入」のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を、65歳まで講じるよう義務付けています。
 さらに、令和3年4月1日からは、70歳までを対象として、「定年制の廃止」や「定年の引上げ」、「継続雇用制度の導入」といった雇用による措置や、「業務委託契約の導入」、「社会貢献事業に従事できる制度の導入」のいずれかの措置(高年齢者就業確保措置)を講じるよう努めることを義務付けています。

【 集計結果の主なポイント 】
◇集計対象
 岐阜県内の常時雇用する労働者が21人以上の企業4,069社
 中小企業(21人〜30人規模:1,173社、31人〜300人規模:2,708社)
 大企業 (301人以上規模:188社)

◇65歳までの高年齢者雇用確保措置を実施済の企業の状況
 ①高年齢者雇用確保措置の実施状況
  65歳までの高年齢者雇用確保措置を実施済の企業は4,066社(99.9%)、大企業では100.0%
  高年齢者雇用確保措置を「継続雇用制度の導入」により実施している企業は70.2%(全企業)
 ②65歳定年企業の状況
  65歳定年企業は854社(21.0%)
   ・中小企業では21.3%  ・大企業では14.9%

66歳以上働ける制度のある企業の状況
 ①70歳までの高年齢者就業確保措置の実施状況
  70歳までの高年齢者就業確保措置を実施済の企業は 1,342 社(33.0%)
   ・中小企業では 33.7%  ・大企業では18.1%
 ②66歳以上まで働ける制度のある企業の状況
  66歳以上まで働ける制度のある企業は1,857社(45.6%、割合比全国5位)
   ・中小企業では45.8%  ・大企業では42.6%
 ③70歳以上まで働ける制度のある企業の状況
  70歳以上まで働ける制度のある企業は1,793社(44.1%、割合比全国4位)
   ・中小企業では44.3%  ・大企業では39.9%
 ④定年制廃止企業の状況および66歳以上定年企業の状況
  定年制の廃止企業は192社(4.7%)
   ・中小企業では 4.9%  ・大企業では0.5%

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!