【税務】第153弾 新NISA制度について

1 はじめに

 株式や投資信託などの金融商品に投資をした場合、これらを売却して得た利益や受け取った配当に対して、20.315%(所得税及び復興特別所得税15.315%、住民税5%)がかかりますが、NISA(少額投資非課税制度)を利用すれば、毎年一定金額の範囲内で購入した株式や投資信託などの金融商品から得られる利益が非課税になります(ただし、売買の損失が発生しても、特定口座や一般口座で保有する他の株式等の配当金や売買益等との損益通算はできません)。
 NISAは、金融所得一体課税への取り組みの中で、個人の株式投資を促進することにより、家計の資産形成を支援するとともに、株式市場を活性化し、経済成長に必要な成長資金の拡大を図るため、平成26年1月1日から施行されています。
 現行のNISAは、つみたてNISA、一般NISA、未成年を対象とするジュニアNISAがあり、つみたてNISAは投資時から20年間、一般NISAでは投資時から5年間、非課税で保有が可能で、売却も自由にできます。ジュニアNISAで投資した商品は、5年の非課税期間終了後、18歳になるまで非課税で保有することが可能です(災害等やむを得ない場合を除いて、3月31日時点で18歳である年の前年の12月31日までの間は、原則として払出ができません)。
 今回は、2024年から大幅に拡充される新NISAについて、現行のNISA制度と比較しながら、ポイントを解説します(ジュニアNISAについては、新規の口座開設が2023年までとされ、2024年以降は新規で投資することができなくなります)。

2 年間投資枠の拡大 

 現行のつみたてNISAは40万円、一般NISAは120万円ですが(どちらか選択)、新NISAでは、つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円の合計最大年間360万円まで投資が可能になりました。
 現行のつみたてNISAが新制度のつみたて投資枠、現行の一般NISAが新制度の成長投資枠に対応しています。
 つみたて投資枠の対象となる金融商品は、長期の積立、分散投資に適した一定の投資信託とされ、成長投資枠の対象となる金融商品は、上場株式、投資信託などです。

3 つみたて投資枠と成長投資枠の併用が可能

 現行の制度では、つみたてNISAと一般NISAは、どちらかを選択し片方しか利用できませんでしたが、新NISAでは、併用が可能です。

4 非課税保有期間の無期限化と保有限度額の拡大

 現行のつみたてNISAは20年間、一般NISAは5年間が保有期間の上限ですが、新NISAでは、つみたて投資枠も成長投資枠もともに、保有可能期間が無期限になりました。
 また、現行制度の保有限度額は、つみたてNISAが800万円(40万円×20年)、一般NISAが600万円(120万円×5年)ですが、新NISAの保有限度額は1800万円(内、成長投資枠の上限が1200万円)と大幅に増額されました。

5 枠の再利用が可能

 現行制度では、一旦売却すると、その金額分について再利用することはできませんでしたが、新NISAでは、売却した金額について、翌年以降、非課税枠を再利用することが可能となりました。

6 口座開設期間の恒久化

 口座開設期間は、現行制度では2023年までですが、新NISAでは、恒久化されました。

7 最後に

 以上のとおり、新NISAは、現行制度に比べて資産形成の面でメリットの大きく、十分な税優遇制度という評価もなされていますが、当然のことながら元本割れのリスクもあります。
 インフレ対策などで、さまざまな金融商品への投資を推奨する動きもありますが、ご自身の資産運用の考え方に合わせて、利用するか否かも含めて、ご検討いただきたいと思います。

税理士 森田清則

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