1.はじめに
マイホームの新築・取得を検討する方にとって、昨今の建築価格高騰や金利上昇は悩みの種となっています。さらに住宅ローン控除は、一般住宅の取得で年間最大 40 万円あった税額控除が令和 6 年では対象外となるなど、時代の変化に伴って控除額が減少となる改正が行われています。このような厳しい環境下の中でもマイホームの新築・取得を検討される方が、住宅ローン控除を受けるための改正ポイントなどを紹介します。
2.一般住宅は適用除外
令和6年以降、一般住宅(令和5年までに建築確認を受けた新築住宅を除く)については住宅ローン控除の適用対象外となりました。令和6年以降は「認定住宅」「ZEH水準省エネ住宅」「省エネ基準適合住宅」などに適合した住宅のみが適用対象となっています。
また、住宅ローン控除の適用には、いずれの住宅に該当するかを証明するため、市町村などが発行する認定通知書や建築士などが作成する証明書などの書類が必要となります。これらの書類は作成に時間を要する場合があるため、早めに必要書類を確認し、作成を依頼することをおすすめします。
なお、令和7年4月以降に着工する住宅は、省エネ基準適合が義務化されるため、令和7年4月以降に建築確認を受ける場合は建築士などが作成する証明書などは不要となります。
3.子育て支援に関する住宅ローン控除(延長)
特例対象個人(いわゆる子育て世帯)がマイホームの新築・取得をする場合の控除対象借入限度額の上乗せ措置が、令和7年度税制改正により1年間延長されました。
住宅の区分 | 借入限度額 | |
---|---|---|
一般 | 子育て世帯 | |
認定住宅 | 4,500万円 | 5,000万円 |
ZEH水準省エネ住宅 | 3,500万円 | 4,500万円 |
省エネ基準適合住宅 | 3,000万円 | 4,000万円 |
税額控除額・・・・年末借入金残高 × 0.7%(認定住宅の場合最大 35万円)
特例対象個人・・・個人で、年齢40歳未満であって配偶者を有する者、年齢40歳以上であって年齢40歳未満の配偶者を有する者又は年齢19歳未満の扶養親族を有する者をいう。
(令和7年12月31日以前に建築確認を受けた住宅が対象)
4.床面積要件(延長)
住宅ローン控除適用要件である床面積について、緩和措置が令和7年度税制改正により1年間延長されました。
合計所得金額 | 床面積要件 |
---|---|
1,000万円以下 | 40㎡以上 |
1,000万円超 | 50㎡以上 |
(令和7年12月31日以前に建築確認を受けた住宅が対象)
5.まとめ
今回はマイホームの新築・取得についての適用要件や住宅の区分に応じた控除対象となる借入限度額を紹介させていただきました。しかし、住宅ローン控除はこの他にも、中古住宅の取得や住宅のリフォームなど住宅に関するさまざまなローンに適用されます。しかし、住宅ローン控除を受けるためには、認定の有無、床面積、住宅の所有者、借入条件など取得年に応じた多くの適用要件を満たさなければなりません。確定申告時期になってから「ローン控除が適用できない」ということがないよう、住宅取得などの計画段階から住宅ローン控除の適用要件を確認してみてください。
税理士 和嶋賢治