【労務】第75弾 改正育児・介護休業法 4月から段階的に施行

 昨年6月に改正育児・介護休業法が成立しました。
 今年4月から段階的に施行されていきますが、今月号では4月から義務化される事項について、取り上げたいと思います。

1.育児休業を取得しやすい雇用環境の整備が必要です

何を?①~④のいずれかを実施してください(複数が望ましい)。
(産後パパ育休は、令和4年10月1日から施行)
①育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施
②育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備(相談窓口や相談対応者の設置)
③自社の労働者の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供
④自社の労働者への育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知
具体的には?①「研修」
対象は、全労働者が望ましいですが、少なくとも管理職は、研修を受けたことがある状態にしてください。
②「相談体制の整備」
窓口を設ける場合、形式的に設けるだけでなく、実質的な対応が可能な窓口を設けてください。また、窓口の周知等をして、労働者が利用しやすい体制を整備してください。
③「自社の育休取得事例の提供」
自社の育休取得事例を収集し、事例を掲載した書類の配付やイントラネットへの掲載等を行い、労働者が閲覧できるようにしてください。
提供する事例を特定の性別や職種、雇用形態に偏らせず、可能な限り様々な労働者の事例を収集・提供し、特定の者の育児休業の申し出を控えさせることに繋がらないように配慮してください。
④「制度と育休取得促進に関する方針の周知」
育児休業に関する制度と育児休業の取得の促進に関する事業主の方針を記載したもの(ポスターなど)を事業所内やイントラネットへ掲載してください。

2.個別の周知・意向確認が必要です(令和4年4月1日以降の申し出が対象です。)

誰に?(本人または配偶者の)妊娠・出産の申し出をした労働者
何を?①~④全てを行ってください。(産後パパ育休は、令和4年10月1日以降の申し出が対象)
①育児休業・産後パパ育休に関する制度(制度の内容など)
②育児休業・産後パパ育休の申出先(例:「人事課」、「総務課」など)
③育児休業給付に関すること(例:制度の内容など)
④労働者が育児休業・産後パパ育休期間において負担すべき社会保険料の取扱い
いつ?妊娠・出産の申し出が出産予定日の1か月半以上前に行われた場合
▶出産予定日の1か月前までに
どうやって?①面談(オンライン可) ②書面交付 ③FAX ④電子メール等のいずれか
(③④は労働者が希望した場合に限る)

外国人労働者 過去最高の172万人

 厚生労働省が発表した「2021年の外国人雇用状況」の届出状況によると、昨年10月末時点で、日本で就労している外国人は、過去最高の172万人となったことが分かりました。

◇在留資格別にみた外国人労働者数の推移

  • 日本で就労している外国人は、2021年10月末時点で過去最高の172万7,221人。
  • 在留資格別にみると、「特定活動」(前年比44.7%増)、「専門的・技術的分野の在留資格」(同9.7%増)、「身分に基づく在留資格」(同6.2%増)の伸び率が大きい。

◇日本で就労する外国人のカテゴリー(総数172.7万人の内訳)

  1. 就労目的で在留が認められる者:約39.5万人(いわゆる「専門的・技術的分野の在留資格」)
  2. 身分に基づき在留する者:約58.0万人(「定住者」(主に日系人)、「永住者」、「日本人の配偶者等」等)
    ・これらの在留資格は、在留中の活動に制限がないため、様々な分野で報酬を受ける活動が可能。
  3. 技能実習:約35.2万人
    ・技能移転を通じた開発途上国への国際協力が目的。
    ・平成22年7月1日施行の改正入管法により、技能実習生は入国1年目から雇用関係のある「技能実習」の在留資格が付与されることとなった。
  4. 特定活動:約6.6万人
    (EPAに基づく外国人看護師・介護福祉士、ワーキングホリデー、 外国人建設就労者、外国人造船就労者等)
    ・「特定活動」の在留資格で我が国に在留する外国人は、個々の許可の内容により報酬を受ける活動の可否が決定。
  5. 資格外活動:約33.5万人
    ・本来の在留資格の活動を阻害しない範囲内(1週28時間以内等)で、相当と認められる場合に、報酬を受ける活動が許可。

◇国籍別にみた外国人労働者数の推移

  • 国籍別にみると、ベトナムが最も多く453,344人で、外国人労働者全体の26.2%を占めている。 次いで中国が397,084人(同23.0%)、フィリピンが191,083人(同11.1%)の順となっている。

在籍型出向を活用して雇用を守る

 新型コロナウイルス感染症の影響を受け、事業の一時的な縮小などを行う企業が、人手不足などの企業との間で「在籍型出向」を活用して従業員の雇用維持を図る取り組みがみられています。
 厚生労働省では、こうしたコロナ禍における雇用維持を目的とした在籍型出向の取り組みを支援するため、地域の関係機関等と連携することなどにより、出向情報やノウハウの共有、出向の送り出し企業や受け入れ企業の開拓などを推進していますので、ご案内します。関心のある方は、厚生労働省の特集ページ (https://mhlw.lisaplusk.jp/jump.cgi?p=7&n=161)をご覧ください。

在籍型出向とは?

  • いわゆる出向とは、労働者が出向元企業と何らかの関係を保ちながら、出向先企業と新たな雇用契約関係を結び、一定期間継続して勤務することをいいます。
  • このうち、在籍型出向は、出向元企業と出向先企業との間の出向契約によって、労働者が出向元企業と出向先企業の両方と雇用契約を結ぶものをいいます。
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