【税務】第134弾 デジタルトランスフォーメーション投資促進税制について

1. 制度創設の趣旨

 経済産業省は、デジタルトランスフォーメーション(以下、「DX」といいます。)を、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義づけています。
 ウィズコロナ・ポストコロナ時代を見据え、企業が競争力を維持し、さらに強化していくためには、DXを実現していくことは必要不可欠です。この企業の取組を後押ししていくために、デジタルトランスフォーメーション投資促進税制が創設されました。

2. 制度の概要

 青色申告書を提出する法人で、産業競争力強化法の事業適応計画の認定を受け、産業競争力強化法の改正法等の施行日(令和3年8月2日)から令和5年3月31日までの期間内に、情報技術事業適応設備を当該企業の事業の用に供した日を含む事業年度、及び情報技術事業適応を実施するために必要なソフトウエアの利用に係る費用(繰延資産となるものに限る。 以下、「事業適応繰延資産」といいます。)を支出した日を含む事業年度については、次のいずれかの適用を受けることができます。

(1)情報技術事業適応設備の取得価額及び事業適応繰延資産の額×30%の特別償却
(2)情報技術事業適応設備の取得価額及び事業適応繰延資産の額×3%(グループ外の企業とデータ連携する場合には5%)の税額控除
 情報技術事業適応設備とは、認定事業適応計画に従って実施される情報技術事業適応(以下、「情報技術事業適応」といいます。)の用に供するために新設又は増設されたソフトウエア並びに当該新設若しくは増設されたソフトウエア又は情報技術事業適応を実施するために必要なソフトウエアとともに情報技術事業適応の用に供する機械装置及び器具備品をいいます。

3. 本制度を適用するために必要な産業競争力強化法の事業適応計画の認定要件

認定要件は、デジタル(D)要件と企業変革(X)要件とに分けられます。主だったものは以下の通りです。

 青色申告書を提出する法人で、産業競争力強化法の事業適応計画の認定を受け、産業競争力強化法の改正法等の施行日(令和3年8月2日)から令和5年3月31日までの期間内に、情報技術事業適応設備を当該企業の事業の用に供した日を含む事業年度、及び情報技術事業適応を実施するために必要なソフトウエアの利用に係る費用(繰延資産となるものに限る。 以下、「事業適応繰延資産」といいます。)を支出した日を含む事業年度については、次のいずれかの適用を受けることができます。

(1)デジタル(D)要件

  1. データを連携すること
  2. クラウド技術を活用すること
  3. 独立行政法人情報処理推進機構が審査する「DX認定」を取得すること

(2)企業変革(X)要件

  1. 生産性向上又は売上上昇が見込まれること
  2. 計画期間内に商品の製造原価が8.8%以上削減されること等
  3. 会社の意思決定に基づくものであること
  4. 投資額が過去3年の国内売上高平均額の0.1%以上であること
  5. 事業適応計画(5年以内)の終了時において、有利子負債がキャッシュフローの10倍以下となること及び経常収入が経常支出を上回ること

4. 留意点

 情報技術事業適応設備の取得価額及び事業適応繰延資産の額の合計額のうち、本制度の対象となる金額は300億円が限度とされます。また、当該制度の対象資産がカーボンニュートラル投資促進税制の対象資産にも該当する場合には、いずれか一方の選択適用となります。
 税額控除については、カーボンニュートラル投資促進税制の税額控除と合わせて法人税額の20%を限度とします。
 なお、所得税についても同様の措置が講じられます。詳しい内容・手続等については税理士にお尋ねください。

税理士 屋敷 育孝

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