【税務】第183弾 土地建物を売却した場合の譲渡所得~長期と短期の区分に注意

① 譲渡所得とは

 個人が所有する資産を売却(譲渡)して利益が出た場合、この利益を譲渡所得といい、所得税、住民税などが課せられます。譲渡所得は「土地、建物など」と「その他」に区分され、土地、建物などは申告分離課税、その他は総合課税(=給与所得や事業所得などと合算)が適用されます。土地、建物などの売買の譲渡所得は他の所得とは別に税金計算することとなります。
 譲渡所得は、売却金額そのものではなく、売却金額から取得費と譲渡費用を控除した利益です(これを課税譲渡所得といいます)。土地は時の経過と共に老朽化したり消耗したりする資産ではないため、土地の取得費は、その土地を購入したときの代金が該当します。建物は減価償却資産であるため、その購入あるいは建築に要した取得価額から所有期間に対応した減価償却費相当額を控除して、取得費を求めます。
 譲渡費用は仲介手数料や、売買契約書の印紙税、売却のために建物を取り壊したときの費用や測量費などが該当します。

② 長期・短期の区分

 土地、建物の譲渡所得では、その資産の所有期間に応じて長期譲渡または短期譲渡に区分しなければなりません。所有期間は原則、その資産を取得した日から譲渡した日までの期間のことです。所有期間5年以下であれば短期、5年超であれば長期に該当しますが、売却した年の1月1日時点で所有期間を判定するルールであることに注意が必要です。
 下図でAB共に2020年6月1日に取得、Aは2026年5月1日に譲渡、Bは2025年8月1日に譲渡しています。Aの所有期間は2020年6月1日から2026年1月1日までで判定し、5年7カ月です。Bは2020年6月1日から2025年1月1日までで判定し、4年7カ月となり、実際の所有期間は5年2カ月であるにもかかわらず、判定上は5年未満となってしまいます。このように実際の所有期間が5年を超えても1月1日時点では5年に満たず、短期譲渡所得となる場合があります。
 なお、課税譲渡所得に対する税率は、長期で20.315%、短期で39.63%であるため、税額に大きな差異が生じます。

③ 取得した日と譲渡した日

 資産を取得した日とは、原則、所有権の移転を受けた日ですが、譲渡に関する契約の効力発生日でもよいとされます。建物を自ら建築した場合は、建物が竣工した日、建物の建築工事請負契約によるものは、引渡しを受けた日となります。なお相続によって資産を引き継いでいる場合は、被相続人が取得した日を引き継ぐことになっています。
 譲渡した日とは、原則として土地・建物を引き渡した日ですが、譲渡に関する契約の効力発生日も認める扱いとなっています。

税理士 樋沢 武司

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