【税務】第132弾 確定申告していますか フリマ・せどりによる所得

1.はじめに

 12月になり、今年も1年が終わろうとしています。長期にわたるコロナ禍を乗り切るため、身の回りにあるものをメルカリやYahoo!オークション等のフリーマーケットアプリ(以下、「フリマ」)を利用して売却したり、インターネットを通じて“せどり”を行う方も増えてきているようです。今回はフリマでの取引やせどりを行った場合の所得税の課税関係について解説します。

2.所得税の確定申告の要否

 フリマでの取引やせどりにより売却益、すなわち譲渡所得が発生した場合、売買の対象物や売買金額、営利目的の有無や取引頻度、本業又は副業として行うかどうかや取引規模によって所得税の確定申告の要否が変わってきます。

①売買の対象物・売買金額
 対象物が家具、じゅう器、通勤用の自動車、衣服などの生活に通常必要な動産である場合は、その譲渡により生じた所得は非課税とされています。ただし、貴金属や宝石、書画、骨とうなどで、1個又は1組の価額が30万円を超えるものの譲渡である場合は所得税の確定申告が必要です。

②営利目的の有無・取引頻度
 ①の非課税とされているものを取り扱う場合でも、営利を得る目的で売買を繰り返し行っている場合は、個人の生活に通常必要な動産の対象外となり、その譲渡により譲渡益が発生した場合には所得税の確定申告が必要となります。

③本業又は副業か・取引の規模
 ①及び②で所得税の確定申告が必要となった場合でも、その取引が本業であるか副業であるか、又はその取引の規模により確定申告が不要となる場合があります。給与を受けている人が副業として行った場合において、譲渡による所得が20万円を超えたときは、給与所得と合わせて確定申告が必要となります。無職の人あるいは事業として行っている人の場合において、譲渡による所得から基礎控除以外の各種所得控除の金額を差し引いた額が48万円を超えたときは、確定申告が必要となります。

3.確定申告をしなかった場合

 2 で生じた所得について確定申告が必要であるにもかかわらず確定申告をしなかった場合、あるいは確定申告に含めなかった場合において、税務署等の調査を受けたときは、通常の納税額に加えてペナルティとして以下の金額が課されることになります。

追徴課税概要
過少申告加算税・本来納めるべき所得税額より少ない額を申告した場合に発生
・新たに納めるべき税金の10%、50万円を超える部分は15%
無申告加算税・確定申告の期限内に確定申告書を提出しなかった場合に発生
・納付すべき税額の15%、50万円を超える部分は20%
重加算税・帳簿の隠蔽や仮装など悪質な不正事実が判明した場合に発生
・過少申告加算税に代えて増差税額の35%、無申告加算税に代えて増差税額の40%の率で課される
延滞税・法定納期限の翌日から完納するまでの期間に応じて発生
・年によって税率が定められている。令和3年では納期限から2か月を経過するまでの期間は2.5%、2か月を経過した日以後の期間は8.8%

 なお、税務署の調査を受ける前に自主的に修正申告又は期限後申告をすれば、過少申告加算税はかからず、無申告加算税は5%に軽減されます。また、税務署の調査の事前通知の後に修正申告又は期限後申告をした場合でも、過少申告加算税は5%、無申告加算税は10%に軽減されます(50万円を超える部分は、それぞれ10%、15%)。

4.まとめ

 確定申告の必要性についての認識がなく、無申告となっているケースも多いと思われます。国税庁でもプラットフォーマー等への情報提供要請を行うなどフリマでの取引・せどりによる所得の適正申告を促すための対策を行っています。課税されることを前提として取引を行う、むしろ事業として行うことで青色申告等のメリットを享受できるようにするなど前向きに検討することが有用ではないでしょうか。検討の際には税理士にご相談ください。

税理士 鈴木康也

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